囲碁入門・超ミニ講座
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囲碁入門・超ミニ講座「ポン抜き」を覚えて30級

 囲碁は高度に複雑な知的ゲームなのにもかかわらず、ルールはとてもシンプルです。
 碁を始めるときに最初に教わるのが「ポン抜き」です。相手の石の四方をすき間なく取り囲めば、その石を取り上げることができるというルールです。取った石は、ゲーム終了後に相手の陣地を埋めるのに使います。
囲碁/石の取り方
 右上隅 白石が3つの黒石に三方を囲まれています。この状態をアタリといいます。ここで黒の番なら、黒はの点に打って、白石を取ることができます。これをポン抜きといいます。取った石は盤上から取り除きます。
 右下隅 白石は2方向しか囲まれていませんが、右側は行き止まりで逃げられません。この場合は、黒がの点に打つと、3つの石で相手の石を取ることができます。
 左下隅 四方をすき間なく囲めば、いくつでも石を取ることができます。左下は黒がCの点に打つと白石3個を取ることができます。白の番なら、同じくの点に打てば、白3子を助けることができます。
 左上隅  実戦によくできる形です。の点に黒を入れるのは最初から囲まれた状態なので、普通は打てないところ(着手禁止点)です。しかし、この場合は黒と打つと、逆にの左、下、左下にある3つの白石が取られてしまいます。白石が取り除かれてしまえば、着手禁止点にはなりませんから、黒はに堂々と打てるのです。

 これだけわかれば、もうあなたは碁が打てるようになります。つまり、晴れて(?)30級ということになるわけです。あとは理屈よりも何よりも、実際に碁を打つ中でいろいろと覚えていくほうが早いのです。
 といっても、もう一つ大切なことがあります。それは「碁の目的」です。将棋やチェスは相手の王様を取ることが目的です。オセロは最後に石が多いほうが勝ちになります。碁は石の取り方から学びますが、実は相手の石を多く取ることが目的ではありません。

碁の目的は陣取り

 碁は囲碁とも呼ばれることからおわかりのように、石で陣地(地)を囲うゲームです。図で説明しましょう。

碁の目的は陣取り 右図 黒の陣地(地)は右上と左下、白の地は左上と右下です。きれいに2つずつに分かれていますが、どちらが多いでしょうか。
 黒地……右上6×3=18目、左下3×3=9目、合計27目
 白地……左上4×3=12目、右下5×2=10目、合計22目

 27目対22目で、この部分では黒が5目勝っていることがわかります。

 実際の碁では、地はもっと複雑な形をしている上に、取った石を相手の陣地に埋めたりもします。石を移動したりして、要領よく地を数えやすい形にするのも棋力のうちです。実際、碁が強い人ほど数えるのが早いものです。

入門者は9路盤で早く目を慣らす

 以上でひとまず「囲碁入門ミニ講座」の解説は終わりです。ここから先をわかっていただくためには、実際に碁石を握ってもらうことが必要になります。百聞は一見にしかず。机上の説明は無力です。実際に碁盤の前に座ることで、初めて碁が少しずつ理解できるようになるのです。
 
 さて、碁は実際に打つことで覚えるものですが、いきなり19×19の大きな盤で打ち始めても、とまどうばかりです。ほとんどの方が例外なく、最初の2〜3局は「何がなんだかわからない」という状態になります。中には入門の段階で碁をあきらめてしまう方も少なくありません。そこで近年は「9路盤」というものが普及してきました。9×9のミニ碁盤です。

 碁は高度な頭脳ゲームということで、大人になるほど理屈で覚えようとします。しかし、碁の初歩のレベルでは、図形や物の形をパターン認識する能力を多く使うのです。碁が「右脳のゲーム」というのはそういう意味です。小学生はパターン認識で碁を覚えるので、碁に慣れるのが早い。しかし、大人は理屈で考えようとし、さらにそこに「プライド」という邪魔が入るので、一般に子供よりも上達が遅れる傾向があります。

 9路盤の碁それでは9路盤をご紹介しましょう。
 右図 9路盤の実戦例です。黒、白とお互いに隅を対角線に占め合いました。黒、白と隅を打ち合い、もう空いている隅がなくなりました。
 黒5が初めての石の接触です。この手はコスミツケという名で呼ばれ、よく打たれます。でもこの場合は白と右下隅の地をしっかり守られて、どうだったでしょうか? 
 この時点で、黒は左半分、白は右半分が地になりそうですが、次は黒の番です。地が少ないと思うほうが戦いを挑んできますから、ハイライトはこれからです。

 19路盤を1局打つ間に、9路盤なら5局前後は打てますから、入門から初級にかけては9路盤、またはそれより少し広い13路盤で早く碁に慣れるほうが有利でしょう。碁は頭(論理=左脳)ではなく、眼と指(右脳)で覚えるものだということをお忘れなく。

合理的なハンデで、棋力の差があっても楽しめる

 碁のすばらしいところは、棋力の差があってもどちらも楽しめることです。スポーツではそうはいきません。テニスや卓球はどのようにハンデをつけるのでしょうか? 将棋も大ゴマを落とすハンデ戦はあまり好かれません。ところが碁は、将棋でいえば二枚落ち(飛車角落ち)よりはるかに差のある9子局(星目)でも、上手と下手が対等に楽しむことができます。
 碁のハンデは、置石一つ当たり1級(一段)差というのがアマチュアの基準です。ですから、初段に9子置くということは、9級くらいの棋力ということになります。それ以上の差であっても置石を増やして打つことはできますが、さすがに対等に楽しめるという感じではなくなります。
25子の置碁
 右図 星と星の間にも石を置いて、合計25となります。理論的には25級差のハンデということになりますが、実際には置石の相乗作用があり、30級くらいの差があります。こんなに置いても、入門時は有段者になかなか勝てないのです。この段階を卒業して、13子くらいの置石になると、碁が急におもしろくなってきます。
 この段階の個人差は大きく、10級の壁を越えるのに3ヶ月もかからない人から、1年以上かかる人までいます。本人の熱心さと碁を打つ環境と、そしてよい指導者の有無が差を生むのです。才能はアマ三段くらいまではあまり関係ありません。


9子局の序盤 左図 よく打たれる9子局の序盤です。対等な碁(互先という)では黒から先に打ちますが、置石のある碁では白から先に打ちます。
 白と右下の黒にカカり、黒はと受けました。この手は隅を固めながら、白への攻めをゆっくりとにらんでいます。白は守っているゆとりがないので、と左下にカカります。
 黒も左下隅を強化しながら、の石への攻めをねらっています。そこで白はと打って、下辺▲の黒石を攻めるフリをします。たいていの級位者は黒▲が危ないという気持ちになり、逃げの姿勢になります。そこが白さんの心理作戦というわけですが、実際には3つの白石はバラバラ。むしろ危ないのは白さんのほうなのです。
 でも、下手としては白が何をしてくるかわからないので、強く戦えない。高段者との8〜9子局で、この場面を強く戦って乗り切れるかどうか。それが初段への分かれ目ともいえるのです。


(図版は“MultiGo 4”を使って作成したものです)