第4章「基礎結合法とイメージ連結法」 C.イメージ変換法
C.イメージ変換法7.記憶術の応用に欠かせないテクニック 祖父 いよいよ最後のレッスンとなる。イメージ変換法という、記憶術の応用には欠かせないテクニックについて説明しておこう。 覚 前に基礎結合法のところでやったやつだね。「中国」を「パンダ」に置き換えるような…。 祖父 そのとおり。カンのいい人はわざわざもう一度説明しなくても自分で工夫してできるかもしれないけど…。でも、3つの方法があるので、とっさにどの方法を選んだらよいか、しっかりとトレーニングしておく必要がある。まずは、「抽象的な概念を、それを象徴する具体的物体に置換する技法」について解説する。 覚 ちょっと…急にいかめしい言葉を使わないでよ。頭が変になりそうだよ。 祖父 やわな頭だなァ。早い話が「形のないものは形のあるものに置き換えよう」といっているわけだ。それをもったいぶって学問的な色づけをすると、さっきのような言い方になる。 覚 もったいぶらなくていいから、何のことか早く教えてよ。 @象徴的なものに置き換える 祖父 ではいきなり例題から行こう。「裁判」という単語から、覚ならどんなイメージを描く? 覚 裁判といえば裁判官。でも、ひと目で裁判官ってわかる姿をイメージできないなあ。 祖父 ドラマなんかでよく出てくる「裁判の場面」ならどうだ? 覚 なるほどなあ。おじいちゃんが「形のあるもの」なんていうから、「場面」なんて想像できなかったよ。これなら裁判官や検事の姿が描けなくても、なんとなくイメージできるね。 祖父 そう、その「なんとなく」ってやつがいいんだよ。昔、「なんとな〜く、なんとな〜く…」って歌がはやったことがあるけど。 覚 ……? 祖父 わかった、次に行こう。「実験」はどうだ? 覚 実験といえば、理科の実験…。「フラスコ」かな。アルコールランプのついたヤツ。 祖父 大正解。自分の経験した実験のイメージがいちばんだね。このほか、変わったところでは「フランケンシュタイン」なんて答えもあったぞ。その人にとっては「実験=フランケンシュタイン」なんだな。 覚 例によって「正解は人の数だけある」ってわけだね。 A関連のあるものに置き換える 祖父 それでは第2の方法に移ろう。前のと少し似ているが、関連のあるものに置き換える方法だ。 覚 さっきの「中国=パンダ」はこの中に入るんだね。 祖父 そう、パンダといえばだれでも中国を連想するだろうが、「中国といえば何か?」と聞かれたら、別の物を連想する人も多いだろう。 覚 ぼくなら中国雑技団。 祖父 私は万里の長城かな。天安門広場やチャイナ・ドレスも絵になる。 覚 本当はあの色っぽいチャイナ・ドレスがいちばん言いたかったんでしょう。 祖父 大人をからかうものじゃない! 次にいくぞ。 え〜と、メキシコがソンブレロ、ドイツがポテトは前にやったな。エジプトとインドはどうかな? 覚 エジプトはだれが考えてもピラミッドだよね。スフィンクスもありそうだけど、マイナーかな。 祖父 いや、ミイラなんていうのもあるぞ。 覚 おじいちゃんは特殊だからね。もしかして、ミイラになりたいの? 祖父 わしを尊敬するのはそれくらいにして、インドはどうなんだ。 覚 う〜ん…、「道路に寝そべっている牛」。いいでしょう。 祖父 おまえの好きな「カレー」ではないのか。 覚 もうお子さまじゃないし…。少しレベルを上げて、ガンジーさんもいいね。 祖父 …と、まあ、そんな具合にやるのじゃよ。 覚 ところで、これまでやったのはみんな知っている単語ばかりじゃない。初めて聞く言葉はどうするの? Bダジャレ、ゴロ合わせを利用する 祖父 実際の勉強では、初めて聞く単語を覚えなければならないことのほうが圧倒的に多い。特に外国の人名、地名や化学物質名などの中には、なかなか覚えられないものが多い。そんな場合には、迷わずダジャレやもじり、ごろ合わせのたぐいを使うのがいい。 ゴロ合わせは、知っている単語でもイメージがすぐに出てこないときには便利だ。 覚 基礎結合法のところでやった、ブラジルを「ブラジャー」にするやつだね。 祖父 そう。ブラジルのイメージはいろいろあるから、先ほどの「置き換え」でやってもよい。たとえば、サッカー、アマゾン川、コーヒー、サンバなどが考えられるが、サッカーやコーヒーはブラジルだけのものじゃないし、アマゾン川のイメージは他の川と区別がつかなくなるおそれもある。サンバを思いつかなかったり、また思いついてもイメージに自信がなかったなら、「ブラ」のつく関係のない言葉を探すしかないだろう。 覚 おじいちゃんが単に好色なだけかと思っていたら、そういう深い事情がからんでいたのか。 祖父 妙な感心の仕方をするやつだ…。さて、例題と行こうか。アフリカのサハラ砂漠は知っているね。その砂漠の南側で砂漠化が進んでいる「サヘル」という地域を、ゴロ合わせでどう覚えるかだ。 覚 サヘルか。惜しいな、サトルと一字違いだ。 祖父 気がつかなかったが、なるほど、そういう覚え方もあるな。でも、一般的ではなく教材として不適切だ。 覚 ほめておいて落とすなんて…ひどい。 祖父 この場合は砂が減ると書いて「砂減る」がいちばんよさそうだ。なぜなら、内容もいっしょに覚えられるからな。「砂が減るのに、砂漠化が進む」なんて、おもしろいだろう? 覚 うまくできすぎだよ。もっと難しそうなやつを、ぼくが出題するね。ヴァイキング(ノルマン人)がロシアに侵入して作った国に「ノヴゴロド国」というのがあるんだけど、どうやって覚えるの? 祖父 ん? そんな名前聞いたことがないぞ。覚は、もうそんなにむずかしい勉強をしているのか? 覚 エヘン、まいったか。 祖父 話をもどそう。覚は「ノブ」のつく名前の人を知っているかな? 覚 あ、信(のぶ)おじさんという人がいるよ。最近、会ってないけど。 祖父 その信おじさんは実はヴァイキングで、ゴロツキをいつも引き連れている奴(やつ)なんだ。つまり、「信ゴロ奴」ってわけ。ロシアに国を作るなんて、たいしたヤツじゃないか。 覚 そうか、信おじさんはそんなに偉い人だったのか。もう忘れないぞ。 祖父 ところで、ダジャレ・ゴロ合わせはカタカナ語だけでなく、れっきとした日本語でも応用できるんだ。むずかしい専門用語や、イメージを置き換えることがうまくいかないようなキーワードは、同じ発音の別の熟語に変換するとうまくいくことがある。 覚 たとえば? 祖父 三権分立のところで「弾劾裁判」が出てくるね。でも、裁判なんて見た目にはみな同じで、イメージできない。そこで「弾劾」を「断崖絶壁」としてみる。断崖絶壁の縁で、命がけで裁判をしている光景をイメージするわけだ。 覚 強烈なイメージだね。でも、うっかり「断崖裁判」なんて書かないように気をつけなくっちゃ。 <完> ページトップへ 以上で、記憶術・無料ネット講座をすべて終了します。ご愛読ありがとうございました。 なお、高山瞭が関係するサイトは次のとおりです。記憶術、文章(作文)などに興味がある方はこちらも併せてご覧ください。 Copywrite: Akira Takayama |