第4章「基礎結合法とイメージ変換法」 A.記憶術の王、基礎結合法 第4章 基礎結合法とイメージ連結法
A.記憶術の王、基礎結合法1.基礎結合法は体に鈴をつけるのと同じ原理 祖父 それではお待ちかねの基礎結合法を教えることにしよう。この方法は1章の6で少し触れたが、絶対に忘れないことに結びつけて覚える方法だ。記憶術の中では最も重要な基本技術で、しかも応用範囲もいちばん広い。まさに「記憶術の王」というにふさわしいもので、これなくして記憶術は語れないのだよ。 覚 へえ、でもやさしいんでしょ。それなのに王様ってどういうこと? 祖父 記憶術のやり方が難しいかやさしいかということと、その威力はあまり関係ないんだ。たとえば、お母さんから大事なこと頼まれたとする。それを忘れないために、ふだんはしないブレスレットをするとか、指にひもを巻いたり、持ち物に鈴をつけたりするのと、基礎結合法は似ているんだよ。 覚 ますますわかんないよ。 祖父 たとえば大事な用件が、郵便物をポストに入れることだとするだろう。ブレスレットと郵便物を結びつけておけば、ブレスレットを見るたびに郵便物のことを思い出す。持ち物につけた鈴や、指に巻いたひもでも同じことだ。本来は「鈴」と「郵便物」はまったく関係ないんだけど、鈴が鳴ると条件反射的に「郵便物を出さなくちゃ」と思い出す。すごく原始的で素朴な方法だけど、記憶術の王である基礎結合法はこの原理を使っているんだよ。 覚 つまり原始的だからこそ威力があるってこと? 祖父 その通り! やっと脳が目覚めてきたようだな。実際には覚えることはたくさんあるから、いちいちひもや鈴などをつけていたら、歩けなくなってしまう。そこで記憶術では頭の中に「絶対に忘れないもののリスト」を用意しておき、それにひもや鈴をつけるのと同じようにイメージ連結するというわけさ。 覚 な〜るほど。記憶術でイメージ同士を連結するのは、体にひもや鈴をつけるのと同じことだったのか…。 祖父 基礎結合法は必ず、用意した「絶対に忘れないもののリスト」1つずつ対応させてイメージを作るから、イメージ連結法のようにクサリが途中で途切れてしまうおそれはない。たとえば、20個の暗記項目を順番に覚えるとしよう。基礎結合法なら9番目のイメージを忘れてしまっても、残りの19項目は点が取れるから95点だろう。でも、イメージ連結法では9番目以下はアウトだから、8項目しか思い出せないことになる。95点と40点の差は大きいだろう? 覚 おじいちゃんが序章で言っていた「スグレモノ」って、そういうことだったのか。 祖父 それだけじゃないぞ。基礎結合法なら後ろから思い出すことや、3つおきに思い出すという離れ業もできるんだ。記憶術以外の方法で頭から丸暗記した場合、そんな芸当はできないから、思い出すにも時間がかかることになる…。 2.絶対に忘れないものとは 覚 ところで、さっきから言っている「絶対に忘れないもの」ってどんなものがあるの? 祖父 古くから知られている有名なものとしては、体の部分に結びつける方法がある。頭のてっぺんから始まって、ひたい、目、鼻、口、あご、首…というようにつま先まで降りていく。途中、人によって場所が少し変わるけど、15番まで用意しておくのがふつうだ。 覚 古くからって言ったけど、体に結びつける記憶術っていつごろからあったの? 祖父 それがよくわからないんだ。明治20年代に記憶術の本がたくさん出版されたらしいんだけど、その中の1冊に古来から伝わる「秘伝」として、この方法が紹介されているから、もしかしたら江戸時代かもしれないな。 覚 へえー、日本にも江戸時代から記憶術があったんだ…。 祖父 いや、それはどうかわからないな。欧米の記憶術の翻訳本が何冊か出版されたのは明治20年以降だから、江戸時代に体に結びつける方法があったとしても、イメージを利用した記憶術だったとは限らない。 忍者が5本の指に大事なことを結びつける「失念術」というのをやっていたそうだが、指では足りなくなったのでその延長線上に浮かび上がったのが「頭のてっぺんからつま先まで」だったんじゃないかな。 あるいは南蛮渡来かもしれないな。中世のヨーロッパでは聖書の内容を教えるのに記憶術が利用されたという記録があるらしいから、ポルトガル人が一部の日本人に簡単な記憶術だけを伝え、それが「秘伝」となった可能性もまったくないとは言い切れない。まあ、これは私の個人的な想像に過ぎないけどね。 覚 体の部分以外には何があるの? 祖父 曜日の順番や月の行事がある。曜日の場合は日曜が「太陽」、月曜が「月」、火曜が「たき火」…というように具体的なものに置き換えて利用するんだ。 覚 月の行事って、ボク全部はわからないよ。1月は正月でしょ? 2月が節分で、3月はえーと…ひな祭りだ。4月は…行事なんかないでしょ。 祖父 入学式があるだろう。入学式といえば? 覚 ランドセル。前にやった連想ゲームだ。 祖父 そう、そのように行事を具体的なものに置き換えておくのがコツだ。次はわかるかな? 覚 5月はこどもの日でこいのぼり。6月は…パスだね。7月は七夕。8月が夏休みで海かプール。9月は…、これもパス。 祖父 おいおい、敬老の日を忘れてもらっては困るね。 覚 そうだったんだ。でも、おじいちゃんはまだまだ老人ではないから。 祖父 その手には乗らんぞ! 最初にパスした6月は時の記念日で、9月が老人の日。はい10月は? 覚 …ちょっと、この部屋カレンダーもないの? 祖父 カンニング防止のためにおいてない。 覚 めちゃくちゃ言ってる。思い出したよ。運動会があるから体育の日だ。それから12月はクリスマスでしょ。 祖父 勝手に11月を飛ばすな。 覚 そういえば文化の日ってあったよね。ボクの直感では11月だね。 祖父 直感を使う場面じゃないだろう。文化の日でも正解だけど、文化では絵になりにくいから、七五三を使うほうが楽だ。 覚 七五三の写真ならあるよ。撮ったときのことは覚えていないけど。 祖父 そう、その写真をイメージ化すればいいんだよ。このようなものを表にしたものを、基礎表と呼んでいるんだけど、これで「体の部分の基礎」「曜日の基礎」「月の行事の基礎」と3つでき上がったことになる。 3.3つの基礎表のまとめ
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★高山瞭の監修・指導による通信講座に興味のある方は ⇒ キオテック創造学習センター「記憶術講座」へ Copywrite: Akira Takayama |
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