記憶術/3単語イメージ連結の方法

 記憶&クリエイト by Akira Takayama    記憶術と心理学が教える 賢い脳の使い方

                 第3章「イメージによる記憶術入門」 C.3単語のイメージ連結 
記憶&クリエイト ホームへ

C.三単語のイメージ連結 7.キャラクター性のない「物」が主人公の場合
8.3単語イメージ連結の基本
9.3単語イメージ連結のトレーニング

3.3単語のイメージ連結


7.キャラクター性のない「物」が主人公の場合

祖父 イメージとイメージのマンガチックな出合いはおもしろいだろう。
 うん、想像以上におもしろかったよ。やりやすい問題とやりづらい問題があったけど、イメージしづらいヤツはどうすれば早くできるようになるの?
祖父 人や動物などキャラクター性のあるものが先に来ると、ストーリーが作りやすくなる。たとえば、前の例でいえば「担任の先生」や「カンガルー」だ。動物の場合は擬人化しやすいから、「カンガルーがどうした、こうした」と大げさな事件を起こしてやればよい。ところが物が主人公だと困ってしまう。
 たとえば、順序を逆にして「五重塔」と「カンガルー」としたらどうだ?
 あ、そうか。おじいちゃんは初心者のボクのために、最初はわざとやさしい例題を出したんだ。五重塔がカンガルーに何をしたかって考えると、イメージがすぐには浮かばないよ。
祖父 そういう場合、「五重塔のてっぺんにカンガルーが飛び乗ってきた」でいいんだよ。
 ずるい、同じじゃないの。引っ掛けたね。
祖父 意味は同じでも、五重塔が主役で「される側」になっている。カンガルーが来たな、という感覚になるわけだ。どっちの単語か先かということもはっきりする。

祖父 それでは物同士の組み合わせをやってみよう。「テレビ」と「ハヤシライス」だ。
 う〜ん。けっこう難しいぞ。「テレビの料理番組でハヤシライスの作り方をやっていた」なんてヤツがだめだということはすぐわかるんだけど。
祖父 これでは何の料理だったか忘れてしまう、と言いたいんだろう。
 ボクの台詞(せりふ)を奪わないでよ。
 「テレビにハヤシライスをぶちまけた」
っていうのはどう? ボクはそんなことしろと言われてもできないけど。
祖父 及第点だな。イメージ:テレビがハヤシライスを食っている
 それだけ? 
祖父 一歩踏み込んで、「テレビがハヤシライスを食っている」とすることもできる。テレビってよく見ると人の顔に見えるだろう。
 確かに。テレビって意外に擬人化しやすいんだ。それなら、「テレビから手が伸びてボクのハヤシライスが取られちゃう」ほうが、もっと現実感があるよ。
祖父 だんだん被害妄想っぽくなってきたな。イメージの中に自分が参加するのは、傍観者になるよりもはるかに印象が強いから、被害妄想も有力な方法といえる。
 ちょっと、ボクの人格を疑うようなこと言わないでよ。

 記憶術のポイント7
 ●無生物でも擬人化してキャラクター化すれば、イメージが強くなる。
 ●イメージ連結の中に自分が登場すると、イメージが強くなる。


8.3単語イメージ連結の基本

祖父 さあ、ここでステージを一段上げるぞ。3単語の連結をやってみよう。
 たとえばA、B、Cという単語を順番に覚えるとすると、記憶術ではまずAを主人公にしてBをイメージ連結し、次にBを主人公にしてCをイメージ連結わけだ。
 記号で言われるとわかりづらいんだけど。
祖父 「A・サボテン ― B・自転車 ― C・煙突」で説明してみよう。鎖のように順番に手をつないでいくとこんな風になる。

 @ サボテンが自転車に○○をした。
 A 自転車が煙突に○○をした。


 最初はサボテンは主役だけど、2番目の連結ではAのサボテンは舞台から去り、Bの自転車が主役になる。ここんとこがポイントだね。常に2つずつの単語をイメージ連結し、主役がリレー状態で変わっていくんだ。
 なるほど、いくつ単語をつなげようと、基本はさっきやったイメージ連結法と同じってことだね。
祖父 そういうことだ。さっそくサボテンと自転車を連結してみよう。
 サボテンが自転車を運転している。
祖父 珍しく冴(さ)えてるぞ。
 サボテンってテレビ以上に擬人化しやすいからね。でも次はこれでいいのかな。
  「自転車が煙突に衝突して壊れた」
祖父 壊れたのはどっちだ?
 ……そうか。自転車が壊れるのは当たり前で、煙突なのかただの壁なのかわからなくなるって言いたいんでしょう? それなら、煙突をボキッと折らなきゃいけないな。
祖父 それなら減点なし。自転車が壊れるのは70点くらいかな。
 別案として「自転車で煙突の上まで一気に走った」というのもある。煙突のイメージが消えにくいだろう? ここで整理すると
 @ サボテンが自転車を運転している。
 A 自転車が煙突に衝突して煙突が折れた。

が覚の解答だね。このイメージ化が成功すると、サボテンという単語から自転車が思い出され、自転車から煙突が連想される。まったく無関係の結びつきでさえ、記憶術を使えば確実に覚えられるということだ。
イメージ:サボテンが自転車を運転しているイメージ:自転車が煙突に衝突して煙突が折れた

 記憶術のポイント8
 3単語イメージ連結はクサリのようにつなぎ、主役がリレーのように変わっていく。


9.3単語イメージ連結のトレーニング

祖父 それでは次に3単語イメージ連結のトレーニングをやってみよう。最初はやさしいそうな例題から、次の3単語をイメージ連結してごらん。

  カニ ― ブランコ ― 洗濯機

 確かにやさしそうだね。
 最初は「カニがブランコの綱を切った」で決まりでしょう。
 次に「ブランコに洗濯機を乗せて洗濯した」でどう?
祖父 ノープロブレムじゃのう。
 (あきれて)ノーコメント。
 そんなことより、例によってまとめて出題してよ。
祖父 それではいくぞ! 心してかかれ。

例題5 次の3つの単語をイメージ連結してください。
 @イカ ― オルガン ― たたみ
 A長靴 ― レール ― ひまわり
 Bレストラン ― 流氷 ― やり
 Cヒトデ ― スイカ ― 屋根
 D桜 ― アルバム ― トンボ 

 これも一つの連結を3秒以内にしなければいけないの?
祖父 いちおうの目安として3秒以内を目標にしましょう、ということだ。2回連結するから6秒以内。初めのうちは10秒以上かかるかもしれないが、トレーニングを続けるうちに、イメージ作りはだんだん早くなってくるから心配はいらない。
 そうなんだ。でも、どうして記憶術のイメージ作りは素早くやるほうがいいの? 普通の考えだと、時間をかけたほうが確実に覚えられるような気がするんだけど。
祖父 それはいい質問だ。イメージはあいまいでしかも一瞬の出来事だろう。だから、時間をかけているうちにイメージが変化したり消えたりして、印象に残らなくなる恐れがあるんだ。一つのことに時間を長くかけるよりも、一瞬でイメージを決め、すぐあとで再現してみるほうが記憶の定着率は倍以上違うだろう。
 そんなに違うんだ。
祖父 記憶術は覚える技術である以上に、思い出す技術であるということだね。
 それでは先ほどの例題を答えてもらおうか。
 いつも同じパターンじゃつまらないな。ボクが答えを出したあと、おじいちゃんの案も言ってくれると、比べられておもしろいと思うんだけど。
祖父 私と張り合うなんて百年早いぞ。
 別に張り合うつもりはないけど、記憶術に絶対の正解はないって言ったじゃない。ヘタなイメージ作りでも覚えられればいいんでしょう? ダメなら修正してコツを覚えるし…。
祖父 それもそうだ。一本取られたか。それに時々は悪い見本も示さないとな。

 ではさっそく「@イカ ― オルガン ― たたみ」から行くよ。
 ・イカがオルガンを弾いている。
 ・オルガンの下のたたみが抜け落ちた。

祖父 私の案は少し違う。
 ・イカがオルガンの上で踊っている。
 ・オルガンの上にたたみを立てた。

 特に問題がなければ、次は「A長靴 ― レール ― ひまわり」だね。
 ・長靴をレールの上に落として困っている。
 ・レールの進む先にタンポポ畑が見えた。
祖父 う〜ん。これはちょっと弱いような気がするな。私のはもっとシュールだ。
 ・長靴がレールの上を走っている。
 ・レールに沿ってひまわりがどこまでも続いている。

 言われてみれば、ボクのは弱いなあ。長靴が勝手に走っているイメージはすごいね。気に入っちゃったよ。
次の「Bレストラン ― 流氷 ― やり」は自信あるよ。
 ・レストランで食事中に流氷が押し寄せてきた。
 ・流氷をやりで突いて砕いた。

祖父 私もほとんど同じイメージを考えたけど、少し違うのは流氷がレストランのテーブルを押しつぶしてしまうところまで考えたことだ。
 おじいちゃんのほうがいつも少しずつ過激だね。もっとマンガを読まなくっちゃ。
祖父 おいおい、そこに行くか?
 次は「Cヒトデ ― スイカ ― 屋根」に行くよ。
 ・ヒトデがスイカ割りをした。
 ・スイカが屋根から落ちてきた。

祖父 ヒトデを擬人化するのもいいけど、そのままでもイメージは強いんじゃないのかな。
 ・ヒトデがスイカをはがい締めにして砕いた。
 ・大きなスイカが屋根の上を転がっている。

 まあ、要するにどちらのイメージでも大差ないってことです。
祖父 勝手に解説するな!
 最後の問題「D桜 ― アルバム ― トンボ」は、アルバムがボクにはちょっとイメージしづらかった。
 ・桜の枝を折ってアルバムにはさんだ。
 ・アルバムを開いてトンボが眺めている。
祖父 確かに困った様子がうかがえる。これでも悪くはないが、最初のは覚らしくもない少女趣味だし、あとのほうはアルバムとトンボの関係がなにやら希薄だ。あとでイメージが再現できないおそれもあるな。こういうイメージはどうかな。
 ・満開の桜の枝にたくさんアルバムがぶら下がっている。
 ・アルバムをトンボが加えて飛んで行った。

初めのやつはまたシュールになってしまったが、困った時は量をたくさん増やすと迫力が出ていいんだ。
 そうか。ボクの擬人化の技法は「何とかの一つ覚え」っていうんだね。「数を増やすテクニック」があったとは知らなかった。レールとひまわりのときも同じテクニックだよね。
祖父 その通り。記憶術のイメージ化の公式はいろいろあるけど、ワンパターンではいけない。いろいろ試すうちに、適切なイメージが自然に出てくるものなんだよ。

 記憶術のポイント9
 ●無理に擬人化しなくても、大きくして個性を強調すればイメージは強くなる。
 ●小さなものや印象の弱いものは、数を増やせば強いイメージになる。


                                                              ページトップへ 
高山瞭監修〔受験・記憶術通信講座〕に興味のある方はhttp://kiotech.net/

次のページ(第3章 D.5〜8単語のイメージ連結) 前のページ(第3章 B.イメージとイメージを連結する) Home目次


Copywrite: Akira Takayama