第2章「心理学を応用した12の記憶法」 D.記憶術への扉
12. ゴロ合わせを利用して記憶する数字のゴロ合わせ 日本では昔から数字のゴロ合わせが一般に親しまれてきました。 お客様に電話番号を覚えてもらうために、ゴロ合わせの言葉を添える広告はよく見かけますが、お店や企業のイメージに合ったゴロあわせができる番号は限られています。そこでいい番号の争奪戦になるわけです。たとえば、2525(にこにこ)、3150(最高・さあ行こう)、0141(おいしい)、1147(いい品)などの番号は、売り切れるのが早い番号です。 数字のゴロ合わせで有名なのは平方根です。誰が考えたのか、傑作です。
現代では電卓を使えば一発で数字が出てきますから、平方根を覚える実用性はありませんが、不思議に廃れません。半数くらいの方はご存知なのではないでしょうか。 受験に直結したものでは、次のような年号のゴロ合わせがあります。
この手のものにはいくつかのバリエーションがありますが、調子よく短文で覚えられるのがミソです。すでにある傑作を利用しない手はありません。ただし、短文を丸暗記する手間はかかります。声を出して暗唱した方が早く記憶できるでしょう。 歴史年表ゴロ合わせの欠点は、だれかが考えてくれたものしか覚えられないということです。新しく自分で考える場合、いつもうまくいくとは限りません。4ケタの数字を意味ある単語に置き換えるだけでもセンスが要りますが、さらにその単語は歴史上の事件にちなんで文章の中に組み込まなければなりません。かなりの力量が要求されます。新作作りは時間と「運」次第、というところでしょうか。 頭文字連結暗唱法 ゴロ合わせに近い手法に、頭文字をつないで作った文章らしきものを暗唱する方法があります。調子のよい短文を唱えてリズムで覚えるという意味では、ゴロ合わせと同じです。次のような覚え方の例は有名ですので、聞いたことがある方も多いかと思います。
あまり意味のない言葉なので、覚えるのは語感の調子のよさだけが頼りです。昔から伝わる傑作を別にすれば、新規に作るのはうまくいくとは限らず、運次第です。 アルファベットのゴロ合わせ 高校の化学で習う元素の周期律表です。時代や地域によっていくつかのバリエーションがあるようですが、私の記憶しているものを掲げます。
補足すると、リーベ(lieben)はドイツ語で愛するという意味。「ぼくの船」までは意味が通るので、別案はありません。その後が苦しいのでいろいろと工夫されるのでしょう。 13.記憶したいことをイメージ化する五感の中で視覚情報が記憶にとって最も重要であることは第1章の11で述べました。 読んだこと、聞いたことにくらべて、実際に自分の目で見たことははるかに強い印象が残ります。同じように、頭の中に視覚的なイメージを描くのも、それに近い効果が期待できるでしょう。 たとえば次のような「単語」を、早口で3回繰り返し読み上げてみてください。 ウォッチ、テーブル、カレーライス、ソファ、テレビ、チャイム 次に、目を閉じて何があったか順番に思い出してみてください。 読み上げるだけでは、覚えるのは難しかったのではないでしょうか。 では、今度は頭の中に一つ一つ「品物」のイメージを描いてみてください。1回イメージするだけでも、記憶の定着度はだいぶ違ってくるはずです。 さらに記憶力を上げるためには、それらの単語=品物をばらばらではなく、一つの状況の中で関連づけるとよいのです。たとえば次のような要領です。 ウォッチを見たら夕食の時間なので、テーブルに着き、カレーライスを食べた。そのあとソファに座ってをテレビを見ていると、チャイムが鳴った。 ここで大切なことは、上の文章そのものを覚えるのではなく、頭の中に順番にその情景を品物とともに思い描くことです。イメージのコツはその中に自分を登場させることです。 いくつかのものを覚えるときは、このようにストーリー化してイメージすると、覚えやすく、また忘れにくい効果があります。この方法は記憶術のテクニックそのものです。 日常会話の中では、視覚化するかしないかで記憶に大きな違いが生まれます。たとえば、次のような会話、 「和室のたんすの、下から2番目の左奥にプレゼントの品を隠しておいた」 というようなことを聞いたときには、即座に頭の中にたんすのある場所を思い浮かべ、「下から2番目の左奥」の位置のイメージを描く必要があります。それを怠ると、あとでたんすを隅々まで探す破目になるかもしれません。 もちろんこうしたことは、ふだん無意識のうちに行なっていることです。あまり重要ではないことや興味のないことは聞き流し、自分にとって必要なことや楽しいことは想像力を働かせてイメージ化する。会話においてはだれもが左脳(言語脳)だけでなく、右脳(イメージ脳)を同時に使っているのです。 ところが学習になると、このイメージ脳が不活発になるのはなぜでしょう。それは学習内容に興味がなく、想像力が働かなくなるからです。文字を読んだり、声を聴いたりするだけでは、理解はできても、記憶として定着する確率は低くなります。 そこで学習において大切なことは、視覚的にイメージできるものはどんなことでもイメージ化してみることです。小学生向けの本には写真やイラストが沢山ありますね。年齢が高くなるにつれて、絵が少なくなり文字だらけになります。それを補うのはあなたのイメージする心がけ(想像力)です。実際には教科書や参考書に写真やイラストがなくても、あなたのイマジネーションで沢山の画像の入ったテキストにすることができるはずです。 視覚的なイメージの効用について述べてきましたが、感覚器官は視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感があります。さらに厳密な意味では感覚ではありませんが、第六感といわれる直感(ひらめき)もあります。視覚を中心にしながら、そのほかの感覚器官も総動員してイメージを補強すると、記憶はより強く定着します。 さらに感覚を研ぎ澄ますと、そこに感情が生まれます。心を揺るがすことは忘れにくいということは、この章の2(長期記憶のカギを握る扁桃体)で述べました。人には感情移入という能力があります。感情移入を利用して覚えるのは、記憶術においては重要なテクニックの一つです。 14.プラス思考とマイナス思考の差何事をするにも、プラス思考をするかマイナス思考をするかで、結果は大きく違ってきます。特に、走り高跳びやボーリング、ゴルフ、サッカーのPKなど、メンタルな戦いの要素が強いスポーツでは、頭に失敗の2文字が浮かんだだけで、ものの見事に失敗することがよくあります。「うまくやらねば」と思っただけでも、「失敗なんかしない→失敗したらどうしよう→失敗するかもしれない」と、次第に「マイナス思考3段活用」に転落していくのです。 また、継続して行うこと(勉強など)においても、自分に対してプラス評価をするかマイナス評価をするかで、おなじ能力を持った人でも大差がつくことがあります。 あなたは次のようなマイナス思考をしたことはありませんか。 私は頭が悪い。もの覚えが悪い。何の才能もない。要領が悪い。運動神経が鈍い。平凡だ。 どうせカエルの子はカエルだ。今からでは手遅れだ。やりたいことが見つからない。 世の中は不平等だ。自分を認めてくれる人なんかいない…etc. 日本人の多くは、自然にマイナス思考になる傾向があります。こうした思考(感情)に支配されると、意欲や集中力も弱まりますから、能力を十分に伸ばすことができなくなるばかりか、本来できることもできなくなります。もちろん記憶にも悪影響を及ぼすでしょう。 マイナスの思考をプラスに変えるだけでも、別人のように能力を発揮できるはずです。たとえば次のような言葉を呪文のように唱えてみてください。
なかなかそう思えない方は、過去の楽しかったことやうまくいったことだけを思い出してみましょう。どんな小さなことでもよいのです。紙に書き出して、自分にうまく暗示をかけてください。 ページトップへ
Copywrite: Akira Takayama |