記憶法/心理学を応用した記憶の工夫

 記憶&クリエイト by Akira Takayama    記憶術と心理学が教える 賢い脳の使い方

                 第2章「心理学を応用した12の記憶法」 C.記憶の工夫
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C.記憶の工夫 8.キーワードは紙に書いて覚える
9.整理された項目は記憶しやすい
10.図解やチャートを自分で作ってみる
11.人に説明するつもりで覚える

8.キーワードは紙に書いて覚える



 目だけを使った学習よりも、唇や舌、耳を動員したほうが覚えやすい。それなら、さらに手を使ってみたらどうか。それがキーワードを紙に書いて覚える方法です。
 文字を書くときの指先の神経が脳の別の部分を刺激し、新たに書かれた活字とは異なる個性的な文字を見ることによって、さまざまな部位の脳神経がつながってきます。文字を書くということは体で覚えるという意味もあるのです。
 また、手を動かすという能動的な行為は、集中力を高めることにも役立ちます。重要なキーワーは手で覚えるという気持ちがあると、しっかりと頭に刻み込まれるでしょう。
 
 ここで注意しなければならないことがあります。それは、キーワードをノートにきちんと清書するように書いてはいけないということです。覚えるために書くのであって、あとで勉強しなおすためのものではありません。
 これは几帳面な勉強家が陥りやすいことですが、完璧なノート作りに時間をかけるのはもったいないと感じなくてはなりません。乱雑でもかまわないのです。ていねいに書いているのでは思考のスピードに追いつかず、そこで記憶の回路がストップしてしまいます。
 授業で、黒板に重要語句をなぐり書きする先生を時おり見かけますね。あの感覚です。大きな字でできるだけ速く書くことが大切です。人に見せるものではないので、自分が読めるぎりぎりの乱雑な字でもよいのです。

 次に、関連するキーワードは線で結んだり、同じグループを○で囲ったりします。そうすることで頭の中を整理し、理解と記憶を同時に行うのです。これを発展させていけば、自作の図解・チャートができ上がるわけですが、それはのちほど説明します。
 
 キーワードは空いているスペースなら、多少曲がっていても気にせず自由に書き込みましょう。人にもよりますが、あまりきちんとしたものはかえって頭に残りません。書くスペースが少なくなったら、区切りのよいところで次の紙に移ります。
 その際、あとで読み返すためのものではないといっても、しばらくはキーワード用紙を書いた紙は残しておきましょう。あなたの脳が必死で戦った記録ですから、記憶の痕跡が詰まっているはずです。復習する際には、参考書よりも役立つかもしれません。


9.整理された項目は記憶しやすい



 まずはいきなり記憶の例題です。次の15個の単語を順序に関係なく覚えてください。

 ヒトデ  タンポポ  まな板  サクラ  タコ  キツネ  ミシン  入道雲
 湖  ライオン  岩塩  イチョウ  自転車  サメ  コスモス

 さて、あなたならどのようにして覚えますか? 真面目に覚えるのでは疲れてしまいます。「順序に関係なく」というのが重要なヒントになっていることに気づけば、いくつかにグループ化できそうだということに思い至るでしょう。種を明かします。
 一見ばらばらの単語のようですが、大別すると「生物と無生物」に分かれます。生物はさらに「動物と植物」、無生物は「自然と人工」に分類されます。ここまでできれば十分ですが、さらに動物は「陸上と海」、植物は「木と草」に分かれます。以上を表にすると次のようになります。

 生物  動物  陸上  ライオン キツネ
 海  ヒトデ サメ タコ
 植物  木  サクラ イチョウ
 草  タンポポ コスモス
 無生物  自然  湖 岩塩 入道雲
 人工  自転車 まな板 ミシン

 上から順番に、陸上動物、海の動物、木、草、自然、人工物と6つのグループを覚えるのは簡単です。あとはそのグループに属する単語を覚えればよいわけです。無関係のものをばらばらに覚えるのとくらべて、分類されたものがいかに覚えやすいかが実感できたでしょうか。
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10.図解やチャートを自分で作ってみる



 文章を目で読むだけよりも、声を出して読んだり、アンダーラインを引いたりしたほうが記憶しやすいということを述べました。それでも覚えづらいものは、キーワードを紙に書き出してみると、記憶が定着しやすくなります。
 さらにキーワードは、関連するものをグループ化したり、線で結んだりして関連づけると理解が深まり、いっそう記憶の強化につながります。

 ここまでくれば自作の図解やチャート作りまであと一歩です。よくできた参考書には図解やチャートがしっかり載っていますが、覚えようとすると意外に覚えづらいことに気がついていますか? 完成された図解は理解するにはすばらしい効果があるのですが、形によってはかえって覚えづらくなります。しかし、自分で図解を作る場合は、作る過程で理解が深まると同時に、手の作業が加わることで、覚えることが楽になります。
 ただし、図解とチャートを自分で作る方法は、記憶することよりも理解を深めるほうにウエイトがかかっています。記憶は理解の副産物と考えてください。

 この方法の欠点は基礎学力や理解能力に大きく左右されることです。中学生の場合はなかなか難しいかもしれません。人によっては高校生でも苦労するでしょう。自作チャートは社会人向きかもしれません。
 図解やチャート作りが難しいと感じる方は、前述のキーワード書き出し法にとどめてください。 あるいは、参考書にあるものを自分で紙に書き写すということでも、効果はあると思います。

 なお、小論文や新聞・雑誌への投書などの文章を書く際には、この図解法は大きな武器になります。自分の考えていることが整理されますから、文章構成の上でたいへん役立ちます。私も考えがまとまらないときに、よく図解を書いて企画や文章構成を考えます。


〔右図〕 筆者が受験記憶術・通信講座テキスト「理論編(A4判64ページ)」を執筆する前に作成した、文章構成のための系統樹。この図を出発点に、細目の追加や削除を経て最終案に至る。
 図はカラーで塗り分けて、ところどころに絵やマンガなどを入れると、頭にしっかりと入りやすい。。




11.人に説明するつもりで覚える



 自分ではわかっているつもりのことでも、人に聞かれて説明しようとすると言葉に詰まってしまうことがあります。あるいは肝心なキーワードが突然思い出せなくなる。あなたにはそんな経験はありませんか? 自分ではわかっているのに説明できないもどかしさ。それはまだまだ理解と知識が不十分だという証なのです。

 人に物事を説明するには、より完璧な理解と知識が要求されます。もちろん、そればかりでなく表現力も必要でしょう。それなら逆手にとって、覚えるときに心の中で「人に教えているつもり」になるのはどうでしょうか? これが意外に効果があるのです。
 教科書や参考書を見ながら、知ったかぶりのあなたが、もう一人の何もわからないあなたに向かって偉そうに講義をする。一人芝居もなかなか楽しいものですよ。ただし、ブツブツと声を出してやると、ちょっとアブナイ人だと思われかねません。時と場所をわきまえましょう。
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Copywrite: Akira Takayama