第1章「脳の使い方を変えよう」 A.記憶術の効果 第1章 脳の使い方を変えよう
1.記憶の絶対量が人生を左右するあなたは「試験を受けることが楽しい」という人に会ったことがありますか? おそらく、そんな人は絶対にいないと断言する方が多いでしょう。もっとも、心の中ではそう思っていても、口には出せないこともあります。試験が楽しくてしょうがないという人が、皆無だとはいい切れません。 私の高校時代にたった一人、「もしかしたら試験が楽しいのでは?」と思われる女性がいました。彼女は3年間を通して常に学年でダントツの成績で、東大に軽く合格しました。いま思えば普通の女子高生でしたが、当時は神々しくさえ思えたものです。 人生の関門は中学受験に始まり、中学、高校の定期テストや実力テスト、模擬テスト、そして本番の高校受験、大学受験、さらに人によっては資格試験、昇進試験などが待ち受けています。 なぜ、試験はかくも苦痛なのでしょうか。それはたくさんのことを暗記しなければならないからです。しかも、心からおもしろいとは感じていない事柄を、無理やり頭に詰め込まなくてはならないのです。おもしろくないことには集中できず、覚えた先から忘れていく…。まさに受験とは努力と忍耐の勝負です。 人をふるい落とす選抜試験は、試験問題や採点法が受験生にとって公平でなければならず、短期間に大勢の採点をする必要もあります。知識の量を測る試験にならざるを得ないのです。そして、その点数によって高校、大学と選別が行われ、さらに大学は超一流から「?流」までランク付けされて、社会人のスタートラインですでに大きなハンデがつけられるわけです。好むと好まざるとにかかわらず、現実には「記憶の絶対量が人生を左右する」という事実は否定できません。 ここは割り切るしかありません。とにかく高い点を取る。でも、できれば苦痛は避けたい。人並み以上の努力もいやだ。そんな方におすすめするのが記憶術です。 記憶術こそは、一度に大量の暗記項目を覚えてもなかなか忘れない、夢のような技術なのです。記憶術について半信半疑の方も、今までの脳の使い方でよいのかどうかを本書で検証し、記憶術以前のさまざまな暗記の工夫も含めて、学習に活用してください。 2.これまでとは雲泥の差。記憶術4つの利点記憶「術」というからには、それ相当の効果が期待できるんだろうな。「ちょっと効果が上がった」という程度では、わざわざ時間を割いて身につける価値はないからなあ。…とまあ、そんなふうに考える人は多いでしょう。 ご安心ください。記憶術は文字通り「術」なのです。記憶術を使う効果はたくさんありますが、受験勉強という目的に絞れば、次の4点を挙げることができます。 1.一度に大量の暗記項目を覚えられる。 2.短時間でスピーディーに覚えられる。 3.楽しみながら覚えられるので頭が疲れない。 4.一度覚えたら長期間忘れない。 @一度に大量の暗記項目を覚えられる 暗記のしかたは人それぞれですが、普通は数項目からせいぜい10項目くらいを覚えたあとで、覚えたかどうかを確認する作業を繰り返し、次の暗記項目に進むという方が多いと思います。 記憶術では、10項目から30項目くらいを一度に覚えてしまいます。しかも記憶の確認作業も、復唱を一度するだけです。 A短時間でスピーディーに覚えられる 一つひとつの項目を繰り返し頭の中で唱えて暗記するのは、だれもがやっている方法です。時間がかかり、集中力が続かないのが欠点です。 でも、記憶術ならもっとスピーディーに覚えられるのです。記憶術のスピード効果がはっきりと現れるのは、暗記項目が多くなった場合です。30、50、100と項目数が多くなるにつれ、記憶術の真価は発揮されます。 B楽しみながら覚えられるので頭が疲れない 受験勉強が苦痛なのは、内容が心から楽しめないからです。ところが、ウソだと思うかもしれませんが、記憶術を使うと覚えることが楽しくなるのです。 あとでくわしく説明しますが、記憶術ではイメージや連想を利用して覚えます。どんなにつまらないことや難しいことも、イメージの力によっておもしろおかしく覚えるのです。そのため集中力が持続し、しかも頭が疲れません。 C一度覚えたら長期間忘れない 試験の前日、がんばって覚えたのに、朝になったら半分以上忘れていた、という経験はありませんか? 「朝どころか、寝る前にもう忘れているよ」なんて、いばっている場合ではありません。 イメージ脳を使う記憶術では、不思議なことに一度覚えるとめったなことでは忘れません。「一夜漬け」でも完璧。確実に思い出せるのが記憶術最大の特長です。 ●記憶術の本質は確実に思い出すこととかく記憶術は大量暗記が強調されがちですが、それが少し誤解を招いている面もあります。記憶術の本質は覚えることよりも、しっかりと思い出すことにあるのです。 記憶は科学的には3つの段階からなり、思い出すということは、@頭に入れる(獲得)、A保持する(固定)、B取り出す(再生)というプロセスを経ることになります。 覚えたことを忘れるということは、記憶が保持されなかったか、取り出すことができなかったかのどちらかです。記憶術ではしっかり保持でき、かつ確実に取り出せるような覚え方をするのです。その代わり瞬間記憶には弱いという面があります。 ですから、たとえば10〜20ケタの数字を覚える早覚え競争では、単純記憶力のすぐれた人に記憶術の達人が負けることがよくあります。しかし、100ケタなら記憶術が勝つでしょう。さらに、別のことで頭を使った1時間後に再度、覚えているかどうかをテストすれば、記憶術の圧勝となるでしょう。暗記項目が多くなっても、覚えるスピードや忘却率があまり低下しないのが、記憶術の最大の特長なのです。 〔記憶の三段階〕
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Copywrite: Akira Takayama |